本日は、皆さんが日常的に使用している製品の中に潜む危険性について焦点を当てたいと思います。
ジョンソン&ジョンソンが製造・販売してきた「ベビーパウダー」。みなさんも小さな頃に使っていた記憶はありませんか??
何十年と世界各国でロングセラーを続けているこの商品に、何があったのでしょうか?その隠され続けてきた真実やそのリスクを深掘りします。
ジョンソンエンドジョンソンのベビーパウダーが突然販売停止した理由

この製品は、赤ちゃんのケア用品として広く使用されてきましたが、その安全性については、これまで十分な情報が消費者に伝えられていなかったのです。
ベビーパウダーの主成分「タルク」とは?
まず、ベビーパウダーの主成分である「タルク」について説明します。
タルクは鉱石の一種で、非常に細かい粉末状に加工されており、肌の滑りを良くするために広く使用されています。しかし、このタルクには、長い間「アスベスト(石綿)」が含まれている可能性が指摘されてきました。
アスベストは、天然に存在する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」とも呼ばれています。
この繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることが知られています(WHO報告)。昔は建材でもよく使われていたため、古い家屋や学校、ビルなどは順次調査が入り、アスベスト混入の可能性のある建物は、葺き替えをしていたのを子供ながらに覚えています。
まぁそれくらい昔から極めて危険な物質であると周知されていながら、現代までこの問題が放置されていたとは、とても怖い話です。しかも子供用品です。呆れて物も言えません。。
ジョンソン&ジョンソンの隠蔽と裁判の背景
ジョンソン&ジョンソンは長年にわたり、このベビーパウダーを知らぬ存ぜぬと世界中で販売してきました。
しかし、2019年にアメリカのオークランド州で、ベビーパウダーを長期間使用していた男性が「肺の中皮腫」というがんを発症したことから事態は一変します。この男性は、ベビーパウダーに含まれるタルクがアスベストに汚染されていたことが原因であるとして、ジョンソン&ジョンソンを提訴しました。
裁判では、ジョンソン&ジョンソンが1970年代からタルクにアスベストが含まれていることを認識していたにもかかわらず、それを隠して製品を販売し続けていた事実が明らかにされました。その結果、同社は約32億円の賠償を命じられ、2020年にはアメリカとカナダだけでベビーパウダーの販売を中止することとなりました。
日本での対応と消費者のリスク
しかし、日本ではこの問題について十分に周知されることがなく、2023年までベビーパウダーの販売が続けられました。これは日本の消費者が、アメリカやカナダの消費者と同様のリスクにさらされていたことを意味します。消費者は、安全性についての情報が提供されないまま、危険な製品を使用し続けていたのです。
日本においても、多くの家庭でこのベビーパウダーが使用されていたことを考えると、その影響の大きさは計り知れません。特に、赤ちゃんや小さな子どもを持つ家庭では、より慎重な対応が求められる状況です。
国際がん研究機関の報告と企業の対応
1982年には、国際がん研究機関(IARC)が、タルクを含むベビーパウダーが女性器に発がん性をもたらす可能性を報告しました。特に、陰部にベビーパウダーを使用する習慣があるアフリカ系アメリカ人の女性たちが、タルクの影響を長年受けていたことが指摘されました。これに対し、ジョンソン&ジョンソンは何らの対応も取らず、問題を隠蔽し続けました。
そして2024年5月1日、ついにジョンソン&ジョンソンは、卵巣がんや子宮がんの被害者約5万人による集団訴訟に対し、1兆200億円の和解案を提示しました。この莫大な金額が示すように、被害の規模と影響は非常に深刻であり、消費者にとっても無視できない問題であることが浮き彫りになりました。
香害問題とその関連性
また、ジョンソン&ジョンソンのベビーパウダー問題に関連して、化学物質過敏症や「香害」についても言及しておく必要があります。
2009年から日本では、化学物質過敏症を訴える子どもが急増しており、その背景には同じく2009年からアメリカのP&G社が日本に輸入を開始した柔軟剤「ダウニー」が関係しているとの指摘があります。(ちなみに日本ではダウニーのまま売れないので、レノアという名前で今でも販売されています。)それまでの柔軟剤とは違う、強い香りが長持ちする製法により、体調不良や気分の悪化を引き起こす原因となっていると示唆されていましたが、当時から今日まで、ほとんど報道されることもありませんでした。
それゆえ、日本企業もこぞってこの香りの長続きする柔軟剤を販売し始め、今では洗濯で柔軟剤を使わないなんて考えられない!と、盲目に使っているご家庭も多いのではないでしょうか。
まさかこのような柔軟剤や除菌消臭剤を今も使っているよ!という方は私の読者さんにはいらっしゃらないとは思いますが(笑)以前記事にもしておりますので、ぜひ周りにも教えてあげてくださいね。
化学物質過敏症の実態と対策 ~健康を守るための生活習慣とは~
結論:消費者の自己防衛意識の重要性
ジョンソン&ジョンソンのベビーパウダー問題は、企業の隠蔽行為と消費者に与えたリスクの大きさを浮き彫りにしました。この問題から学ぶべきは、大企業の商品だからといって安心するのではなく、果たしてそれは本当に生活に必要なのかどうか?を見極める目を持つことだと思います。
特に、子どもや高齢者といった弱い立場にある人々を守るためにも、製品の安全性について慎重に判断し、必要であれば代替品を選ぶことが求められます。企業の倫理性が問われる時代において、私たち消費者一人ひとりが、自身と家族の健康を守るために行動することが、より良い社会を築く第一歩となるでしょう。

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