明治時代から100年間で日本人の平均身長は15cm伸びましたが、1980年生まれをピークに身長が低下する傾向にあります。男性は1.5cm、女性は0.6cm身長が低くなると予想されています。
これは何を意味するのでしょうか？そして、その背景にはどのような要因が隠れているのでしょうか？本日は、この問題に迫り、特に低出生体重児の増加、妊娠中の歯周病、そして亜鉛不足が与える影響について詳しく解説していきます。
低出生体重児の増加とその影響
低出生体重児とは、生まれた時の体重が2500g未満の赤ちゃんを指します。さらに、1500g未満を極低出生体重児、1000g未満を超低出生体重児と分類します。この低出生体重児が増加している背景には、様々な要因が絡み合っていますが、その主な原因の一つとして出産時の母親の歯周病が原因の一つだと明らかにされてきました。
歯周病菌に対する免疫反応により、炎症作用の強いプロスタグランジンという化学物質が産生され、子宮収縮を引き起こします。これが早産のリスクを高め、低出生体重児の増加につながるということです。
妊娠中の免疫力低下と歯周病のリスク
しかしなぜ、そもそも妊娠中に歯周病になりやすいのでしょうか？よく、妊娠中は歯がぐらつくという話も聞きますよね。
実は妊娠中、母親の体は胎児を異物と認識しないように、免疫力を意図的に低下させるからです。
お腹の赤ちゃんは血液型も違いし、お腹の中にいるものの違う生命体です。お母さんにとっては体の中に異物がいるわけです。それに対して異物反応が起きてしまったら、子供を流産してしまう可能性が高まるのです。なので、妊娠中は異物として認識しないために自らの免疫力を低下させるのです。
しかしこの免疫力の低下が、歯周病菌の繁殖を容易にしてしまうんだそうです。また、つわりによる食生活の乱れが歯周病をさらに悪化させる要因となります。
歯周病菌が体内に繁殖すると、その菌を攻撃するために体内で細胞膜のリン脂質という油からアラキドン酸というオメガ6の油を遊離していきます。
この油が一体何をするかいうと、実はアラキドン酸は炎症作用のあるプロスタグランジンという化学物質を産生し、これで歯周病をやっつけようとします。このプロスタグランジンは、歯周病菌を攻撃するだけでなく、子宮を収縮させる作用もあるため、結果的に早産と低出生体重児の増加に繋がるのです。
歯周病が引き起こす他の問題
さらに妊娠時の歯周病は、他にも様々な問題を起こします。
歯周病があると、このばい菌が血管の中を通って体に侵入してきます。そして歯周病菌の死骸が持つ毒素に対して、私達の免疫のリンパ球、サイトカインがやっつけるための物質である腫瘍壊死因子というのを産生してしまうんです。これが多く産生されると、実はインスリンに対しての抵抗性が高まって、いわゆる妊娠糖尿病というのを起こすことがわかっています。
妊娠糖尿病になると、胎児への栄養供給が不十分になり、胎児の発育遅延を招きます。この結果、生まれてくる子供が低出生体重児となり、さらに低身長のリスクが高まります。このように、歯周病と糖尿病は密接に関連しており、双方のリスクを増大させる要因となります。
亜鉛不足がもたらす影響
次に、亜鉛不足も子供の身長が伸びない原因として重要です。妊娠中のつわりや歯周病の影響で、母親は柔らかいものや甘いもの、精製された糖質（パンや麺類、白米）ばかりを摂取することが多くなります。しかし、これらの食品には、妊娠中に特に必要とされるビタミンやミネラル、特に亜鉛が不足しています。
亜鉛が不足すると、味覚異常や口内炎、粘膜の荒れが生じます。粘膜が荒れると、さらに歯周病のリスクが高まり、歯周病が悪化することで、先述したプロスタグランジンの産生が増加し、妊娠糖尿病をさらに悪化させるという悪循環に陥ります。
歯周病予防と栄養管理の重要性
では、妊婦さんはどのようにして歯周病を予防し、亜鉛不足を補うことができるのでしょうか？
まず、歯周病を予防するためには、よく噛んで唾液をたくさん出すことが重要です。唾液には口内の浄化作用や殺菌作用があり、歯周病菌の繁殖を抑える効果があります。主食には玄米ご飯やライ麦パン、野菜全般、大豆製品などを取り入れることが推奨されます。
さらに、抗炎症作用のある食材を摂取することで、歯茎の炎症を抑えることができます。
オメガ3を豊富に含むエゴマオイルをサラダやスープに加えたり、トマトやオリーブオイル、ナッツ、アボカドなどの抗酸化作用がある食材を積極的に摂取することが効果的です。
また、緑茶に含まれるカテキンには抗菌作用があり、歯茎を強化する効果があります。ウーロン茶に含まれるポリフェノールは、歯垢の発生を抑える効果があるため、これらの飲み物を日常的に取り入れることも良いでしょう。
また、私のおすすめは、日本蜜蜂の生蜂蜜を寝る直前、歯磨き後に小さじ１杯をゆっくり口の中に含ませてしっかり口腔内に浸透させることです。歯周病菌を死滅させて、口腔フローラを自然な形で調整します。安眠効果もあるので、おすすめです。
あ、虫歯にならないのかって？本物の非加熱無濾過の日本蜜蜂の蜂蜜は虫歯になりません〜。虫歯菌の餌であるしょ糖ではありませんので安心してください。
結論：子供の健康な成長のために
これらの情報からわかるように、低出生体重児の増加や日本人の平均身長の低下には、妊娠中の母親の歯周病や妊娠糖尿病、亜鉛不足が深く関与しています。これらのリスクを軽減するためには、妊婦さんや妊娠を希望している女性が、日常的な口腔ケアやバランスの取れた栄養管理を行うことが不可欠です。
歯の定期検診を欠かさず受け、歯周病の予防に努めるとともに、亜鉛を含む食品を積極的に摂取することで、母体の健康を保ち、将来生まれてくる子供が健康に成長できるようサポートしましょう。特に、赤ちゃんが低出生体重児にならないよう、日々の食生活や生活習慣を見直すことが大切です。
最後に、妊娠中の女性だけでなく、その周囲の家族やパートナーも、妊娠期間中の母体の健康に気を配り、適切なサポートを提供することが求められます。これにより、母子ともに健康な未来を築くことができるのです。
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